先日紹介した丸山先生の著書と同じ東海大学出版会の「フィールドの生物学」シリーズを2冊読了した。学部の卒業と進学先の決定をそろそろ考えなければいけない身として、なるべく今第一線で活躍してる生物学者がどのような青年時代を送っていたのか知るのはとても参考になるはずであると思い、購入した。2冊とも大変な良著であった。以下に感想を載せる。

モグラ―見えないものへの探求心 (フィールドの生物学)

モグラ―見えないものへの探求心 (フィールドの生物学)

右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 (フィールドの生物学)

右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 (フィールドの生物学)

モグラ-見えないものへの探求心」は現在、国立科学博物館学芸員の川田さんの著書。哺乳類の調査方法や分類の方法には様々な手法やアプローチがあることを知ることができ、勉強になった。特に、古くから行われてきたという染色体の形や数を直接観察し系統関係を類推す法は、節足動物では一般的ではないが、面白い方法であると思った。この方法や頭骨の観察により、世界のモグラや食虫目の系統関係が次々に明らかになっていく過程も読んでいてワクワクした。

「右利きヘビの仮説-追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化」は非常にセンセーショナルな話題である、右利きのヘビとヘビによって捕食されるカタツムリとの関係の解明を背景に、調査中の苦労話、実験の試行錯誤、難航する論文投稿など、面白い仕事をやり遂げるために何が必要なのかを考えさせられた。分類学以外にも切り口次第で生き物には人をあっと驚かせる面白い事象にあふれているのだなと、生物学の面白さ、奥深さを再認識した。