ヤドリの呪い


鹿児島市郊外で採集した、寄生性のBee。ヤマトムカシヤドリハナバチEpelous japonicus(たぶん)。こういう寄生性のBee(他にはトガリハナバチCoelioxys、キマダラハナバチNomada、ヤドリコハナバチSphecodesなど)は格好いいので見つけたら積極的に採るようにしている。寄生性のBeeはいい。五家荘で巨大な腹部が赤いヤツ(恐らくヤドリハキリバチの類)を逃した時には歯ぎしりして悔しがった。分類が難しいことで知られているが、最近は徐々に若手の研究者によって日本産種の概要が判ってきつつある。

厄介なことにこいつらは和名がすこぶる混乱していて、ヤドリハキリバチなのかハラアカヤドリバチなのか、スジヤドリハナバチなのかヤドリハナバチモドキもしくはシロスジヤドリハナバチなのか、はたまたムカシハナバチヤドリなのか意味不明である。

一番多いのがマルハナバチヤドリとヤドリマルハナバチのように「ヤドリ」の位置が入れ替わるやつであるが、とにかく「ヤドリ」の文字があると必ずと言っていいほど多少なりとも和名が混乱している。その証拠に同じような寄生性のBeeであるNomadaは常木勝次が提唱した「キマダラハナバチ」一本でうまくいっている。これらの「ヤドリ」の和名から引き起こされる混乱を総称して僕は「ヤドリの呪い」と密かに呼んでいる。